老子の言葉をわかりやすくお届けします

水のように柔軟に

育児は、日々、自分の思うようにならないことの連続。

 

「どうして寝てくれないんだろう」
「どうして食べてくれないのかな」
「どうしておとなしくベビーカーに乗ってくれないの!?」
「どうして自分で歩いてくれないの?」
「どうして言うことを聞いてくれないんだろう…」

 

「どうして?」と、「こうだったら良いのに」の繰り返しで、
育児ノイローゼとまではいかなくとも
ストレスで精神的に不安定になるママは少なくないハズです。

 

そんな時、老子の思想に触れることができれば
気持ちはス〜ッとラクになるハズ。
老子といえば、政治家や経営者に向けた「リーダー論」が有名ですが、
実は、育児に生かせるメッセージも非常に多いんですよ。

 

例えば、老子は、「水」に人としての“理想像”を見ていました。
水は、一見、透明でつかみどころがないものですよね。
しかし、そこには、土砂を移動させて地形を変えるほどの
底知れない力を秘めています。

 

育児においても、水のような“柔軟さ”が必要です。
子供を変えようとするのではなく、
子供に合わせて自分を柔軟に変えられるしなやかさ。
それがあれば、子供に対してイライラすることも少なくなるでしょう。

 

自分の都合に合わせて、子供を力任せに従わせようとしても、
子供は無意識的に、親の自我を感じ取ります。
しかし、水のような柔軟性を持っていれば、
「自分が子供に合わせてあげよう」と素直に思えるようになります。
そうすると、自我の押しつけがない分、
子供も拍子抜けするくらいあっさりと折れてくれたりするものです。

最初から「できること」を求めない

一人で寝かせようと思って、ギャン泣きされた時。
ベビーカーに乗って欲しいのに、抱っこに固執された時。
頑張って作った離乳食を食べてもらえなかった時。
おっぱいを卒業させたいのに、離してくれない時。
なかなかオムツを卒業できない時…。

 

育児中は、ことあるごとに、
「どうしてできないんだろう」「いつになったらできるんだろう」
と、先を焦るあまりに途方に暮れてしまう場面も多いものです。

 

しかし、何事も、最初からできることなんてありません。
老子の言葉にもあるように、
「最初の一歩」があるから、いつか千里先にたどり着くことができるのです。
大事なのは、たった一歩でゴールにたどり着くことではなく、
最初の一歩を踏み出すことなんです。

 

「先ばかり見てやろうとする者は、失敗する」
「先のものをいま取りたがる者は、取り損なう」

 

「先」ばかり見て足元を見ない愚かさを、
老子もまたこのような言葉で戒めていました。

 

育児においても、まずは、今できることをよく見て
認めてあげることが大切です。
無理に先を急がせるのではなく、
最初の一歩を一緒に踏み出してあげたら
あとはその子の成長に任せる。
そのくらいのスタンスでいるほうが、
子供はのびのびと伸びていけるのかもしれません。

大事なものはココにある

育児中のママが焦ってしまうのは、
子供の成長のことばかりではありません。
自分の人生についても、ついついあれこれ考えすぎて
不安になったり、絶望的になったりしていませんか?

 

「スムーズに仕事復帰できるだろうか」
「前と同じように仕事ができるんだろうか」
「今までキャリアはどうなっちゃうんだろう」
「自分には、もう社会的な価値はないんじゃないだろうか」

 

日中、家の中に小さな乳幼児と二人きりでいる時間が長いママは、
特にそのような不安に取りつかれることが多いことでしょう。

 

そんな時は、自分に言い聞かせてあげましょう。
「あなたは、自然界の生き物の一種なんだよ」と。
「生きる」「物」なんですから、
天から授かった命を育むことは一種の使命であり、「権利」です。
その権利が脅かされるような会社や社会なら、
それはその在り方が歪んでいる証拠。

 

国を、社会を支えることができるのは、他でもない「人間」です。
つまり、「育児」は、国を支える一大プロジェクトだと言っても
過言ではないくらいの大事業なのです。

 

国家レベルのプロジェクトの主役を務めるのと、
その重みさえ理解できていないつまらない会社での
ささやかな地位…あなたはどっちが大事ですか?

 

命を大切にする人は、地位や収入が低くても気にしない。
命を犠牲にして名誉や地位を追う者は、
実は一番大切なものをとりそこねてしまう。
…老子もまた、このように語っています。

 

本当に大切なものは何なのか、
自分は今、何を手にして、何を失ったのか。
そしてその重みは、どっちが重いのか?

 

他社や社会からの評価にふりまわされるばかりではなく、
「自分はどう思うのか」、「自分は何を選ぶのか」
“自分”を大切にして考えてみてください。

 

社会のせいにしない自分になれれば、
本当に大切なもの、値打ちのあるもの、
手にしているものの本当の価値に気付くことができるハズです。