老子の言葉をわかりやすくお届けします

戦うなら、「しなやかに」勝ちに行け!

突然ですが、みなさんのご家庭では奥さんと旦那様、
どちらが”強い”ですか?

 

”強い”にも、いろんな見方・捉え方がありますよね。
経済力を基準にして比較すれば、
正社員で・フルタイムで・それなりの地位を与えられている旦那様は
パートや在宅ワークの奥様よりも”強い”と言えるでしょう。

 

一方、精神的な面を基準に比較してみれば、
これはもう、「女性は男性よりも強い」と老子さえもが認めています(笑)。

 

老子によれば、「女性はへりくだることによって男性に勝つ」のが戦術。
「へりくだる」というと、ちょっとネガティブなニュアンスにも捉えられますが、
老子が言いたかったのは、「女性には、男性にはない”柔軟性”がある」ということです。
状況や相手に合わせて柔軟に・しなやかに対処できるので、
結果的には自分の思う方向、有利な方向に話を進めていけるという…。

 

老子は、このような戦術を”水”にも例えていますね。
水は、非常にやわらかいものですが、
長い時間をかけてコツコツと岩を穿ち、地形を変えるほどの力を持っていますよね。
本気で勝ちに行こうと思うのであれば、女性や水のような
”しなやか”で”柔軟性に富んだ”戦術で臨むべきだ!と教えていたようです。

老子の十八番!相手を欺く戦術

老子の得意な戦術といえば、なんといっても「逆説」。

 

「相手を縮めたいと思うのなら、まずは拡張してやれ」
「相手を弱めたいと思うのなら、まずは強めてやれ」
「相手を取り除いてしまいたいと思うのなら、まずは勢いづけてやれ」
「相手を奪い取ってしまいたいと思うなら、まずは与えてやれ」

 

…見方によっては、かなりひねくれた戦術ですよね(笑)。
しかし、これが老子のトリック。
本気で勝ちたいと思うのなら、正面衝突するのではなく
意図とは逆のことをすべきだと老子は教えていたのです。

 

大きな国であっても小さな国であっても、
相手と正面衝突して戦えば敵・味方ともに大きなダメージを受けます。
また、小さい国であればあるほど、力任せの正面衝突をしても
勝てる見込みは薄いでしょう。

 

それならば、相手を油断させてその隙にヒョイっと形勢逆転させてしまうほうが
自分も相手もダメージが少ない。
なおかつ、損失を最小限に自分の有利な方向に持っていける…。
いわゆる「権謀術」。言い方を変えれば「はかりごと」「たくらみ」ですね(笑)

「戦わずして勝つ」って簡単?

なぜ、老子は「正面対決」を避けて、こそこそと相手をあざむくような
”秘密のはかりごと”のような戦術を勧めていたのでしょうか。

 

その根底にあるのは、「戦わない」、「不争」というスタンス。
血気盛んに勢い勇んで戦っても、結局は殺されてしまう。
それなら、「ぐずぐずと尻込みしているくらいでちょうど良い」と老子は考えていたようです。

 

「勇於敢則殺、勇於不敢則活」
(敢えてするに勇ならば、則ち殺され、
敢えてせざるに勇ならば、則ち活く。)

 

何事も進んで果敢に行動する者は殺される。
何事もぐずぐずと尻込みしている者は生かされる。
…会社にもいますよね。
勢いが良すぎて、あっけなく上司やライバルにつぶされてしまう人(笑)。
滔々と理想を語っていながら、上司とぶつかってあっさりと転職…とか。

 

殺されてしまったら、そこで全ては終わり。
それなら、いっそ「戦わない」か、または「逃げてしまったほうがマシ」
と老子は考えていたようですね。

 

「なんか…情けない教えじゃない?」
と思われるかもしれませんが、死んでしまったら、
戦いのない世の中をつくることもできなくなってしまいます。
それなら、生き延びたほうが良い。
この戦術は、私たちの日々の生活の中でも十分に生かし得るものです。

 

家庭が崩壊してしまったら元も子もありませんから、
勝てない夫婦喧嘩はしないことです(笑)。