出る杭は打たれる
“自分”を強く印象づけられる人、
自分の意見をしっかり伝え、相手を説得できる人、
自己アピールがうまい人。
…現代社会においては、“自分”を主張できる人が生き残れると思われがちです。
しかし、本当にそうでしょうか?
アピールできるほどの個性もない、華もない、存在感もない。
そういう人間は、“弱者”として切り捨てられてしまうばかりで良いのか!?
老子によれば、自分をことらさらにアピールしない人こそ、最終的には目的を達成できるのだとか。
「出る杭は打たれる」という言葉があるように、
目立っていれば、かえって“つぶされる”リスクも高くなるもの。
ライバルに足を引っ張られることも多くなります。
その点、目立たなければやっかみの対象になることもありませんし、
憎まれることも、ねたまれることもありません。
変に人目を気にすることなく、自分の目標に集中することができるのです。
控えめにしていれば最後は勝てる?
「曲則全、枉則直」
(曲なれば則ち全し、枉がれば則ち直し)
曲がりくねって見栄えの悪い木は、その生を全うできる。
身を屈めていればまっすぐに伸びられる。
…一見、逆説的にも思われるこの老子の言葉ですが、
社会的に“弱者”と呼ばれている人たちにはこの上ない勇気を与えてくれることでしょう。
曲がった木というのは、「どうせ伐っても使い道がない。役に立たない」
…と、伐採されることなく森に残ることができます。
逆に、まっすぐで見栄えの良い木は、使い道も多いのですぐに伐られてしまう。
結果的には、曲がりくねって見栄えの悪い木のほうが、
天から授けられた命を全うできるのだよ、という教えです。
お金もなく地位も名誉もない。社会的には“弱者”と呼ばれる立場にあっても
だからこそ強くしなやかに生きていけるとも考えられますよね。
自分を誇示したり才能を鼻にかけたりしている人は、
「アイツ、調子に乗りやがって。よーし、痛い目を味わわせてやろう」
などと脚を引っ張られることも多くなりますが、
控えめな人は他人から疎まれることもありません。
周囲のやっかみに邪魔されることなく、ストイックに自分の道を追求できる…
結果として、それが大きな成功につながることも少なくないのです。
競争社会の常識をぶち破れ
曲がりくねった木は、伐られることがないので生を全うできる。
尺取り虫のように身を屈めていれば、いつかまっすぐ伸びて前へ進める。
…こうした老子の教えは、現代社会において
“弱者”と呼ばれている人たちに強く支持されています。
そもそも、“勝ち組”だの“弱者”だのと、人を分類すること自体がナンセンス!
自己アピール力が弱い者は生き残れないなどという
現代の競争社会における常識を、老子の言葉はいとも簡単にぶち壊してくれます。
就職できない、出世できない、家を買えない。
私たちは、自分に無い物を欲しがり、それを手に入れられないことを嘆き、
そういう自分を「弱者だ」と決め付けて自虐的な思考に陥ったりしますが、
それは全て、社会にはびこっている狭い価値観に振り回されているだけ。
「弱者こそ最強」という老子の教えは、
どんな人にも前向きに、たくましく生きる勇気を与えてくれるのです。
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