老子の言葉をわかりやすくお届けします

人によって評価は分かれる

小賢しいことはせず、あるがまま、自然でいなさい。
「足る」を知って、欲張らないように!それが幸せへの近道だよ。
怨みに対して怨みで返しても、悪循環だよ。怨みには徳でお返ししなさい。
強くなくたっていいんだよ。柔らかくて弱いものほど、本当は強いのだから。

 

…耳の痛い言葉もあれば、ホッと心がラクになる言葉あり。
老子の言葉に、ハッとして我が身を省みる人もいれば、
思わず涙を流してすがりつく人もいることでしょう。

 

つまり、老子という存在は、その言葉を受け取る人によって評価がまちまち。
社会的に見て、優位な立場にある人(収入が多かったり、地位が上だったり)は、
「何言ってんだ。所詮、負け犬の遠吠えだろ」と思うかもしれません。

 

逆に、社会的に弱い立場の人(仕事や収入に恵まれなかったり)は、
「そうだよね!金や地位があったって、そんなのホントの幸せじゃないよね!」
と勇気づけられることでしょう。

 

つまり老子の思想は、「役に立たない負け惜しみ思想」であると同時に、
「多くの人を奮い立たせる救済の思想」でもあるのです。
最低であり、最高でもある。
「逆説の王」と呼ばれた老子にふさわしい評価ですね(笑)。

人間味があるところに親近感を覚える

「弱者だの強者だの言ってる世の中なんて、けちらしてやろうぜ!」

 

「世の中の評価なんて気にするなよ!
だって所詮、誰でも自然には逆らえないんだからさ」

 

…老子のメッセージを現代風に解釈すると、このような感じでしょうか(笑)。

 

しかし、一見、ちょっと斜に構えて世の中を見ているような印象のある老子ですが、
そんな自分自身を「孤独だ」と嘆いている言葉があるんです。

 

「我は愚人なるかな、沌沌たり」
(私には愚か者の心しかなく、いつもぼんやりしている)

 

春になると、人々は喜んで宴席のごちそうを囲む。
それなのに、私だけが寂しげで、心の内を見せることがない。
一人孤独でどこにも帰属せず漂っている。
誰にでも財産があるのに、私だけが貧しい。
人々は生き生きしているのに、私だけが一人、暗く悶々としている。
まるでその心は、波のように絶え間なく揺れているかのようだ。
しかし、私には尊い支えがある。
それは母なる道に見守られていると言うことだ。

 

要するに
「あ〜、いいなあ。みんな楽しそうだな。
それに比べて俺って孤独だな…。
金もないし、暗いことばっか考えてウジウジしてるな。
でも、ま、いっか。
“道”だけは裏切らないし。ずっと守ってくれるし」
…ということでしょうか。

 

賛否両論、評価の分かれる老子ですが、
このような「人間らしい弱さ」が「なんか憎めない!」と言う方も結構いますね。
確かに偉そうな言葉ばかり並べられても、
「じゃあ、お前はどうなんだよ!?それでさみしくないのか?
お金欲しくないの!?贅沢したいとか思わないわけ?」
…と反発したくなりますからね(笑)

偉大だからこそ嫌われる

人間らしい弱さがあったからこそ、老子は、
全ての者に対してえこひいきしない「道=万物の根源に
なんらかの“救い”を見出したのかもしれません。

 

自分自身の弱さを認め、全てをひっくるめた「自分」を
丸ごと受け入れることができていたからこそ
世間からの評価に振り回されることなく
自らの思想を貫くことができたのかもしれませんね。

 

他人のことはなんとでも言えますが、
自分の弱い部分を認めて受け入れるのは難しいものです。
老子を嫌う人は、そのような老子の「人間としての強さ」に
嫉妬しているのかもしれませんね。

 

老子の言葉の中には、逆説的なものも多く、正直なところ
「なんだかよくわからないな…」という謎も多く含まれています。
そのため、「人を煙に巻くような思想がいけ好かない」と評価されることもあります。

 

「得体が知れないから嫌われる」という解釈もありますが、
「人として偉大だからこそ嫌われる」という見方もできるのではないでしょうか。

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