老子の言葉をわかりやすくお届けします

ナゼ、今、老子が人気なのか?

「スローライフのススメ」
「これからはスローライフで行こう」

 

…こんなキャッチフレーズ、あちらこちらでよく目にしますよね。

 

ところで、そもそも「スローライフ」とはどんな生き方のことなのでしょうか。
もともとは、ファーストフードの反対語・「スローフード」から派生しています。
大量生産やスピード重視のライフスタイルに対して、
「もっとゆっくり生きたら?」
「一つ一つをもっと大事にして生きようよ」
と、よりスローペースでのんびりした暮らしを提案する考え方です。

 

実はこれ、老子の思想にも通ずるところがあるんですよね。
老子といえば、「無為自然」。
あるがまま、自然に逆らわずに生きることの大切さを説いた思想家ですが、
言い換えれば、それは、

 

「自然体でいこうよ!」

 

ということ。
これが、ナチュラリストの間で絶大な支持を受けているんです。

 

ちなみに最近は、「別に私はナチュラリストじゃないけど」
「自然派ってわけではないんだけど…」という方の間でも
老子の思想がじわりじわりと人気になっているよう。
「急げ急げ!」「ライバルを出し抜け!」「自分をどんどんアピールしなくちゃ!!」
…というあわただしい現代社会において、フッと心の緊張が解けた時、
たまたま目にした老子の言葉に「救われた」「妙に腹落ちした」
という方も多いようですね。

「求めない」ことで得られる幸せ

自分は別に、スローライフを支持しているわけではない。
できるだけ便利なほうが良いし、
いまさら昔みたいな不便な生活には戻りたくない。

 

…このように考えている方でも、その身体の中には、
自然界に生きる生物としての本性が眠っています。
ですから、木の香りになんとなく気持ちが安らいだり
緑を見ると呼吸が深くなったりするのです。

 

「スローライフ」という生き方に抵抗感をお持ちの方も多いかもしれませんが、
自然に従った生活に戻りたい、もっと自然を身近に感じたい、
都会的な喧噪から距離を置きたい…そう思うのは、
“逃げ”でもなんでもなく、自然界に生きる生き物として当然の感覚です。

 

ちなみに、スローライフの基本は、「足るを知って、求めないこと」。
これは、老子も繰り返し説いていた教えですね。
他人の物を欲しがったり、「もっと、もっと」と欲張ったりするのは、
自分にとっての「足る」を知らないからです。
言い換えれば、自分自身のことを知らないからだと言って過言ではないでしょう。

 

自分の「身の丈」が分かれば、必要以上に求めなくなります。
「今あるもので充分」と、満足できるようになります。
そうなれば、「あれもない、これもない」「もっと欲しい。でもお金がない」
…と、心悩ませることもなくなります。

 

数万円のコートに一目ぼれしたとして、
「あ〜欲しいな」と、どうしても欲しくなってしまった時。
まずは、それが自分に似合うのかどうか、
自分のクローゼットに似たようなコートがないかどうかチェックしてください。
現状を把握してみると、
「あれ、自分にはサイズが合わないかも」
「あれれ、前にも似たようなコートを買ってたんだ…」
と、冷静に踏みとどまることができます。
これで、お金を散財することもありませんし、後になって
「入らない!」「似合わない!」「似たようなのを持ってた><;」
なんて後悔することもなくなりますよね(笑)。

自分自身を肯定することから始めよう

自分自身を正しく把握して、身の丈をわきまえる。
そうすれば、余計な欲にふりまわされることもない…。
これが、老子流スローライフの基本です。

 

この教えにもつながることですが、老子はまた、
「自分自身を肯定すること」
「自分自身を認めて受け入れてあげること」
の大切さも説いています。
富や名声を得ようとする人は、自分の“外側”に向かって踏ん張りますが、
「道=自然の摂理、万物の根源」に従おうとする人は、
自分の内面に目を向けて、今の自分に満足する。
それこそが、本当の意味での「豊かさ」であり「幸せ」なのだと…。

 

確かに、自分で自分を否定するばかりでは、
何時まで経っても幸福感は味わえませんね。
自分を肯定しない限り、人は「幸せだ」「満足だ」とは感じられないのです。

 

流行りに流されてスローライフを始めても、
自分自身を認めることができていなければ、
結局はその生活に満足などできないでしょう。

 

まずは、あたまでっかちに色々考えず、
必要ならば目も耳も口も塞いで外部からの情報をシャットアウトし、
自分自身の内側に目を向けてみましょう。