地位や名誉に執着しない!
「新商品がここまでヒットしたのは○○さんのおかげですよ」
「○○さんがいなければ、ここまでうまくはいってませんでしたよ」
「○○さん、あんな賞を受賞するなんてスゴイですね!」
…どれも、耳障りが良いフレーズですよね(笑)。
どんな人でも、けなされるよりは誉められたほうが嬉しいし気持ちが良い!
それはもう、どんなに本人が「そんなことはない」と否定しようが、
人間誰しもが持っている「承認欲」です。
しかし、老子は言います。
「地位や名誉にしがみつかずに、さっさと退きなさいよ」と。
引き際のタイミングを間違えるなよ、と…。
老子が挙げた“例え”として非常にわかりやすいのは、鋭く研いだ刃先。
最初は切れ味が良く、気持ち良いくらいよく切れますが、
徐々にキレが悪くなってきますよね?
それと同じように、人間も、富と地位はいつまでも続かない。
執着せず、やり遂げたなら潔く身を引くべき!
“引き際”を見極めよ、と老子は教えているのです。
潔く去るのが美しき姿
「功遂身退、天之道」
(功遂げて身退くは、天の道なり。)
仕事をやり遂げたらさっさと引退する。それが天の道である。
そう語る老子の教えは、現代にも通ずるところがありますよね。
経済界や政治の世界を見ていても、
「この人、引き際を間違えたなあ」と思われる人のなんと多いことか!
一方で、小泉純一郎氏は良いタイミングで政界を去ったといえるのではないでしょうか。
とはいえ、「引き際の良さ」に関しては、本田宗一郎氏にかなう人物はいないでしょう。
自動車のHondaが絶好調の時期に社長の座を退いた本田氏の引き際の良さは、
経営者の間でも話題になったようです。
運気が上り調子であればあるほど、そして、組織において重要な地位にある人ほど、
「自分ならまだまだできる」「自分がいなければだめだ」
…と、その地位や成功に執着してしまいがちなもの。
しかし、そう思う時にはすでに“絶頂”の時期は過ぎていますし、
また、その人の代わりになる人はいくらだっています。
悲しいかな、それが人間社会の現実なのです。
老子は、それでも地位にしがみつくのは「天の道に反すること」とまで強く戒め、
引き際を潔く決めることの大切さを説いています。
あの西郷隆盛も…
自らの引き際を的確に見極める手本として歴史上の人物に目を向けてみると…。
あの西郷隆盛も、非常に引き際の良い人物だったことをご存知でしょうか?
西郷さんが残した言葉に、次のような有名なフレーズがありますが、
まさにその潔い引き際を象徴しているよう!
「児孫の為に美田を買わず」
(子孫に財産を残さない)
自分が死んだ後のために財産を残したとしても、
それが原因で親族間に争いが勃発することもありますし、
その財産を当てにして働く意欲をなくしてしまうかもしれません。
(今のご時世、そこまでの財産を残せるのはよほどの人物だと思いますが…笑)
極端な話、それはその家の破滅を招くことにもなり兼ねないのです。
やるだけやったら、「それはオレの功績だ」などとすがりつくのではなく
「あとはよろしく!」と、潔く退く。
老子は、そんな引き際の良さもまた「道」に従った自然な生き方だと説いています。
確かに、いつまでも元気で頑張れる人なんていませんし、
築いた財産も使えばどんどん失われます。
ず〜っと衰えず、ず〜っとNO1でいられるものなどないわけですから、
「どのタイミングで退くか」、その「引き際」を見極めることが
その人の「生き方のセンス」と言えるのではないでしょうか。
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